安倍外交への評価と期待 – ダイナミックにそしてきめ細かく

安倍自民党大勝で終わった参院選、これからが安倍政治の本番だ。今までは如何にして参院選を制するかで、幻想をふりまいたり、手練手管の粋を尽くしたと言っては言い過ぎかもしれないが、憲法、外交、安保、教育などについては決して十分な対応とはいえなかったのではないか。


2006年5月22日~23日にキエフで開催されたGUAM会議の記念切手。

モルドバの国旗。
正式には同じ国旗を2枚作って表裏を縫い合わせる(裏面は完全に左右逆)ということになっているが、現実にはどうしているか、確実な情報はない。どなたか事情に通じておられる方はお知らせいただきたい。

ウクライナの国旗。
欧州屈指の穀倉地帯らしく青い空の下に広がる小麦畑をイメージしたもの。

アゼルバイジャンの国旗。
8稜星はテュルク系の8つの部族を表す。世界の国旗で8稜星はこの旗のみ。

グルジアの国旗。
1999年に議会でこのデザインの旗への移行が可決されたが、当時のエドゥアルド・シェワルナゼ大統領の拒否により実現しなかった。しかし、同大統領が「バラ革命」によって追放された後、新たにサアカシュヴィリ大統領となり、2004年1月14日に議会でこの国旗が再可決され、約500年ぶりに復活した。

とはいっても、この半年あまり、安倍首相は「日米機軸野多角的戦略外交」をダイナミックに、時にはキメ細かく展開してきたことは評価できるし、麻生副総理、岸田外相も懸命にこれをフォローし、足りない分を補ってきたといえよう。

安倍さんについて言えば、選挙戦に入る前の半年足らずに、10カ国を訪問し、12カ国の首脳と東京で会談し、横浜で開催されたTICAD5(第5回アフリカ開発東京国際会議)では39カ国の首脳と会談した。特に、V4外交、英国でのG8サミット、アイルランドへの公式訪問などは高く評価できよう。

この中で私は日本ではあまり語られていないがV4首脳との会談を特筆したい。

まず、6月17日付の「よみうり寸評」をごらんいただきたい。

〈V4〉--4連覇ではない。ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの東欧4か国による地域協力の枠組みのことだ◆Vはハンガリー北部の町ビシェグラードの頭文字。チェコとスロバキアが分離する前、1991年に3か国首脳がここで合意、発足したことからV4と呼ぶ◆安倍首相がポーランドを訪問、16日午後、ワルシャワでV4首脳と会談し、共同声明を発表した。声明は原子力はじめエネルギー分野や安全保障分野などでの協力に合意したことを明らかにした◆V4が共産圏から脱したころを思い起こす。北朝鮮と国交のあるV4には拉致や核、ミサイル問題などでの働きかけ、日本への情報提供も期待したい◆ワルシャワ市内のホテルでは、すし、てんぷらなど日本食紹介のレセプションが開かれた。ここで首相が和食のトップセールスを展開したのもよかった◆日・V4首脳会談は初めての開催だった。〈V〉ことビシェグラードの名も初めて身近になった。これでV4との距離がより近くなるといい。

ここでは触れられていないが、大事なのは、日本の首相がポーランドの首都ワルシャワまで来るというのに合わせて、他の3カ国の最高首脳も集まってきたということだ。

日本外交もようやくここまで「芸」ができるようになった。このV4、案外、期待超えて効果を発揮することになるかも知れない。9月7日、ブエノスアイレスで行われる2020年のオリンピック開催と選考投票、この東欧の票の動きは大きいのではないか。旧ソ連のGUAM4カ国(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ)との外交も、安倍が外交の裾野を拡大するには重要であると考える。

これからは安定政権を背景に、日米同盟のさらなる強化、太平洋をはじめとする海洋国家との連携による、自由で開かれた海洋国家群の連携強化、価値観を共有する欧州諸国との連携促進、そして日本の周辺諸国、すなわち、核と拉致の国・北朝鮮への対応、尖閣諸島をめぐる中国との確執、北方領土問題の解決を図って日露関係の画期的な新展開など、安倍外交にはさらなる拡充・推進を期待する。

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