教科書採択の責任は教委

6月27日付東京新聞に賛成できない記事が出ていた。


日本の国旗

国旗掲揚と国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版(東京)の高校日本史教科書について、東京都教育委員会は27日に開いた定例会で「使用は適切でない」とする見解を議決した。都教委はこれまで、都立各校に非公式に「記述は都教委の考え方と相いれない」などと伝えていたが、公の場で教科書の使用適否に踏み込むのは前例がなく、反発が広がりそうだ。

見解は、今年の教科書採択の対象となる同社教科書「高校日本史A」と「高校日本史B」に国旗国歌をめぐり「自治体で強制の動き」という記述があると指摘。「『国旗掲揚と国歌斉唱の指導を適正に実施することが教員の責務である』とする都教委の考え方と異なる」と問題視した。

その上で「実教出版の教科書を都立高校などで使用することは適切でないと考える」と結論づけている。

定例会では、木村孟(つとむ)委員長が「私から教育長に対し、教育委員の意見を踏まえて見解をまとめ、校長に周知するよう指示した」と明らかにした。委員からは意見は出なかった。

教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、義務教育ではない高校については学校の選択を尊重して追認している。

昨年は見解の中で示された二つの教科書のうち、近現代史が中心の「日本史A」が採択の対象となった。都教委は都立233校のうち、一年生で日本史を教える17校に「都教委の考え方とは相いれない」などとする電話を入れていた。

結果として17校は実教版以外を選択。本紙の取材では、当初は実教版を選ぼうとして、都教委の電話で断念した高校もあった。実教版の全国シェアは14%で、都立高の採択結果は不自然との指摘が出ていた。今年は通史を学ぶ「日本史B」も採択の対象で、影響はさらに大きくなる。

 

国旗国歌をめぐり「一部の自治体で公務員への自治体で強制の動き」がある、と一見公平な報道のように見えるが、それでいて、「実教版の全国シェアは14%で、都立高の採択結果は不自然との指摘が出ていた」と、これだけのシェアがあればそれが正しいとする論理には無理があるといえよう。それは、問題の部分以外が優れているとか、デザインに巷間をもてるとか、執筆人が信頼できるとか、副読本がそろっているとか、入試に出題されることが多いとか・・・さまざまな要素があってのことかと容易に想像できる。

「異例な判断だが、適切な教科書を生徒に渡すための正しい選択権の行使といえる」「都教委の姿勢を他の道府県脅威も見習ってほしい」という7月1日付、産経新聞の「主張」は正しい。

「一部の自治体で公務員への自治体で強制の動き」と記述すること、そのものについて東京新聞はどう考えるのかをはっきりすべきだ。公務員というのは公が決めたことを実施する職業ではないのだろうか。それがいやなら公務員を辞めて、反対運動をすればいいだけのことである。

また、たとえば、日本という国を紹介するのに、「一部に泥棒がいる」「振り込め詐欺が社会問題になっている国である」とわざわざ書かねばならないものなのか。私はそうとは思わない。

さらに「委員からは意見は出なかった」というのは、論ずるまでもなく支持した(黙認した)ことになるのは民主主義の常識だが、それがまるでおかしなことででもあるかのような印象の記事になっているのはいかがなものだろうか。

同時に、こうしたトラブル(不適切な記述)を文科省が検定段階でチェックできていなかったことが問題ではあるまいか。

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