国旗のある風景 – TPP参加への理解と誤解

4月2日付の「Newsweek」の表紙です。


TPP交渉中の11か国と日本。
この「日の丸」は円がたての2分の1。
下の5分の3の大きさが法的に正確である。

円はこの大きさが正しい。

民主党政権下に2年半に及ぶ迷走を重ねたTPP(環太平洋経済連携協定)問題、3月15日、安倍晋三政権はようやく、交渉参加を正式に表明した。

これにより原参加国4カ国を含む12カ国が交渉に参加することになる。日米両国のほか、西太平洋の6カ国、南北アメリカの4カ国で、これは世界のGDPの38%を占めることになる。新たな巨大な貿易圏の誕生に向かっている。

賛成派のうたい文句では、アベノミクスの「3本の矢」の1つ「成長戦略」の柱として、巨額の財政出動はなくなり、関係国との政治的結びつきも強化されるというものであり、反対派は、日本の農業は壊滅的な打撃を受け、日本の伝統や文化までが破壊されるという。

どの国も弱いものと強い分野とがあるわけで、そこが交渉のしどころ。注視してゆきたい。

ところで、4月9日の各紙は、8日、メキシコのペニャニエト大統領が、安倍晋三首相と首相官邸で会談し、日本のTPP交渉参加を「支持する」と表明したことを報じている。日本の参加に支持・承認を得たのは、これで交渉参加11カ国のうちメキシコを含む6カ国からとなった。

メキシコの支持表明で、日本の交渉参加に必要な支持・承認が得られていない国は、米国、豪州、ニュージーランド、カナダ、ペルーの5カ国となった。

これに関連して9日の朝日新聞は次のように報じている。

米国とは承認に向けた事前協議で大筋合意し、近く米議会で手続きに入る見通しだ。ただ、順調でない国もある。ペルーは昨年1月にいったん承認したが、安倍首相が先月に交渉参加を表明後、改めて承認するための協議を日本に求めた。

豪州とは07年から二国間のEPA交渉をしており、日本はTPPの支持取り付けと合わせて前に進めたい意向で、交渉は大詰めだ。牛肉などをもっと輸出したい豪州は日本が農産品に課す関税の引き下げを求めるが、日本側は否定的だ。

ただ、日本政府には「米国から承認を得られれば、ほかの国も遠からず支持・承認するだろう」(交渉関係者)との見方が強い。

TPPへの参加には、あと5カ国の支持・承認が必要である。交渉参加国の中では、これまでに前述のメキシコ、昨年1月に承認。安倍首相の参加表明後、4月上旬に再承認したチリ、アジアではベトナム、ブルネイ、シンガポール、マレーシアが昨年1~2月に承認済みであり、協議中の国は、ペルー(昨年1月に承認したが、再協議中)、オーストラリア(二国間の経済連携協定EPAの交渉と並行して、TPPの参加承認について協議中)、 ニュージーランド(昨年2月から承認に向けた協議を継続中)、カナダ(日本から政府代表団を派遣して協議中)、そしてアメリカは承認に向けた事前協議で大筋合意し、一部分野で最終調整中といったところだ。

ところでこの「Newsweek」の表紙、各国旗を環状に縦横比を統一して並べているのは結構だが、これ絵は「日の丸」がひ弱で困る。赤い円の大きさはたての5分の3」。この表紙の「日の丸」はそれがたての2分の1になっているから元気が出ない。

安倍総理、先週の月曜日に官邸の総理応接間で袴田茂樹安全保障問題研究会会長(新潟県立大学教授)とともに、ユーラシア21研究所理事長として「献策」に上がったときには花粉症で頬が腫れ気味になるほど赤かったが、きょうの国会答弁の様子ではだいぶ回復された様子。この「日の丸」のように元気が出なくては困る。言うべきをいい、貫くべきところはつらぬいて、TPPを日本の飛躍のバネにしてもらいたい。

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