独立派を抑える発言をした国王② スペイン

2013年、今年に入ってスペイン国王のフアン・カルロス1世(75)がテレビのインタビューで「極端な見方を持つ者たちによって分離主義が導かれている」と述べ、国の結束を呼びかけた。


スペインの国旗

フアン・カルロス1世

バスクの旗

カタルーニャ州旗

これは明らかに、バルセロンを中心とするスペイン南東部のカタルーニャ州と北部バスク州の独立志向派に向けての牽制だ。有力紙エルパイス紙までが、「国民に選ばれているわけでもない国王に、独立に向けた努力を非難されるいわれはない」と反発している。

経済危機や緊縮財政の影響で、ヨーロッパでは分離独立を志向する地域政党が勢いづく傾向にあり、これに王室の経費に敏感な市民感情が輪をかけた格好だ。

スペインの国王は戦前からの長いフランコ独裁を切り替え、民主化に道筋をつけたことで敬愛されてきた。しかし、フランコ時代を知らない世代は現在の5割を超す高失業率に苦しむだけで、国王の求心力が衰えがちという事情もある。

バスクの旗は、1894年にバスクの民族主義者・サビノとルイスのアラナ兄弟が、英国旗「ユニオン・ジャック」を模してデザインしたといわれる。赤はバスク人を、緑は「ゲルニカのオーク」といい、バスクの伝統的な議会がこの木の下で開かれたことから、伝統的な法や、民族の自治・自由といったバスクの価値観を象徴するとされる。白い十字はカトリックの信仰を表している。


カタルーニャ独立派の「青星モデル」

自治州政府とは敵対するバスクの分離独立を強く要求する急進的民族主義者によっても掲げられている。しかし、これに加えて、かつてキューバの独立を支援したことから、逆にキューバ側からカタルーニャの独立を願っておくられたデザインというキューバの国旗を連想させるというのもあり、カタルーニャ州でも特に独立志向の高いバルサやエスパニョールの競技場でしばしば振られる旗がある。

4本の赤線は伝説でドラゴンに殺されたアラゴンの王様の血塗られた4本の指の跡。そのドラゴンを倒したのがカタルーニャ州の聖人ジョルディという伝説がある。この黄地に4本の赤い線というデザインはスペインの国旗にも出てくる紋章の一部をなしており、もし、カタルーニャが独立すれば、スペインの国旗も変更される可能性が高いであろう。

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