独立派を抑える発言をした国王① ベルギー

ベルギーとスペインで、国王が国内の分離独立の動きを牽制する発言をし、独立推進派の猛反発を浴びている。国家を超える機能を持ち始めつつあるEU、それでいながらギリシャをはじめとする深刻な経済危機、そしてEUからの離脱さえしかねないイギリス…そんなヨーロパでは、国王が政治的な基本課題に口を挟むという傾向に、王室の役割を問う声が広がりかねないと危惧する声もある。最近の朝日新聞、毎日新聞、Newsweek等による。


ベルギーの国旗。
                
三色は、「黒地に赤い舌を出している黄色いライオン」というブラバント公の紋章に由来する。

アルベール2世

最近、最初に政治的な発言をしたのは、ベルギー国王のアルベール2世(78)。昨年末、「ポピュリストが国内の別の地域に経済危機の罪を負わせようとしている」と国民向けに演説した。

ベルギーでは近年、北部オランダ(フラマン)語圏地域と南部フランス(ワロン)語圏地域の対立が深まっている。直接、名指しこそしなかったが、国王の発言は北部の独立を指向する政党・新フラームス同盟(フラマン語ではNieuw-Vlaamse Alliantie、略称:N-VA)への牽制と受け止められた。

独立志向派の新フラームス同盟(フランス語では新フランドル同盟)はベルギー北部フランデレン地域を基盤とする中道右派の地域主義政党。


N-VAはこんなシンボルマークを掲げてはいるが、未だ独立後の国旗案を固めているわけではない

2001年にフランデレンの地域政党・人民同盟(フラマン語でVolksunie)が左右両派に分裂したことにより、その右派が新たにまとまって結成したもの。地域主義といっても、分離独立には比較的穏健な人たちの集まり。

2010年の総選挙においては代議院で27議席を獲得して第1党となった。しかし与党に加わらず、政局は混迷、結局、ワロン語系である社会党のエリオ・ディルポが首相に就任するまで、535日をも要した。

同年10月、党首デウェーフェルがアントウェルペンの市長に当選。これによりフランデレン中心の政策をいっそう強めることになると予想される。

ところが、国王は「1930年代のポピュリストの行動を忘れてはならない」と歴史に学ぶべきことを説き、デウェーフェル党首は「われわれをナチスに例えるとは何事ぞ」と立腹。「国王は政治に一切関わるな」とクギを指した。

王室問題に詳しい作家ナディア・ゲールツさんは、「民主的に選ばれない国王に政治的発言を許している制度が問題。外交儀礼だけに徹するか、共和制に移行すべきだ」と主張する。

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