世界で3番目?に多く歌われている歌「きよしこの夜」②


オーストリアの国旗

ここ数日、「きよしこの夜」を何度か歌う機会がありました。小石川教会でのSANITOSという合唱団のチャリティ・コンサート、浜離宮ホールでの「きりく」(大坪泰子さん主宰)によるハンドベル・コンサート、そして私がたまたま管理組合の理事長をしている世田谷のマンションのクリスマス会などの機会にです。

浜離宮ホールでは畏れ多くも、皇后陛下のすぐ近くで、高らかに罵声を張り上げました。今夜も六本木ロータリークラブの会合(私が紹介した晴 雅彦の歌と後藤 泉のピアノによるディナー・コンサート)に招かれていますので、もしかして、そこでも,という感じです。

「きよしこの夜」は美しくも清楚なメロディーで、おそらく世界で3番目くらいに愛唱されている曲ではないでしょうか。「1、2番目は何だ?」ですって。はい、1番目は「Happy Birthday to you」、2番目は「蛍の光」だと、永六輔さんがラジオでそう言ってました。ですから、「きよしこの夜」が3番目だというのは根拠なく私がそう思い込んでいるに過ぎません。賞味期限がありますが、今の季節限定なら断然トップでしょう。

ところで、この曲、ヨゼフ・モール作詞、フランツ・グルーバー作曲のものに、牧師の由木 康(ゆうき・こう)が日本語の歌詞を付けて以来、わが国で広まりました。まず、1927(昭和2)年のカトリックの『聖歌』に掲載さされ、ついで、1931年のプロテスタントの『賛美歌』にも載りました。その際はともに、「みははのむねに」でしたが、戦後も1954(昭和29)年になって、「まぶねのなかに」と修正されています。「みはは」ではあまりに聖母マリアを称えカトリック的だということからのようです。でも、英語の歌詞では「round you virgin mother and child」ですがね。

この歌の発祥の地はオーストリアのザルツブルクの近郊だと、昨年、再訪したときに現地の観光案内にありました。それこそあの「The Sound of Music」の舞台になったところですよね。

調べてみると、正確にはオーベンドルフという村のようです。この村の聖ニコラ教会のパイプオルガンが故障して(ネズミがかじったためとか?)使えなかったとき、助任司祭のモール(28)が詞を書き、音楽教師でオルガン奏者のグルーバーがメロディーを付けた、とか、モールが既に書いていた詩にグルーバーがギターを引きながら作曲したとか、1831年にドイツのライプチヒの市場でブーツを売るCMとして歌われたのが移民によってアメリカに渡り、爆発的にヒットした…などと伝わっています。

日本での最初の紹介は日清戦争のさなか1894(明治27)年に刊行された『クリスマス賛美歌』に掲載されているようですが、今とは歌詞が全然違うそうです。

「きよしこの夜」はこうして、キリスト教徒が全人口の1%もいない日本でも頻繁に歌われ、かくいう非クリスチャンであり、年末には、仏教寺院で突かれる除夜の鐘を厳かに聴きつつ、初詣として神社に向うという「平均的日本人」の私でさえも、短期間に何度も歌うというのは、世界的に奇妙といえば奇天烈(きてれつ)かも知れません。でも、いい曲はいいじゃないですか。キリストも釈迦も天照大神も、きっとみなさまお許し給うと確信する次第です。

さて今夜また、もしこの曲を歌う機会があったら、ハーモニーのパートを歌おうかな? 星の輝く、オーストリアの片田舎の小さな教会での聖夜にでも、思いを馳せながら。

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