欧州の国旗には星がないから「星の旗」 – EUの旗


EUの旗

そのEUの旗について、説明しましょう。

1985年にミラノで開かれた欧州理事会において、欧州旗をEUの旗として使用することが合意されました。

デザインを考えたのは、ジェラルド・スレヴィン (Gerard Slevin)という アイルランドの首席紋章官。それが1955年12月8日、欧州評議会によって採択されたのです。

1983年4月11日、まず欧州議会がこの旗を採用、次いで、1986年5月26日、ヨーロッパの経済統合を進めた欧州共同体 (EC) が採用しました。1992年、マーストリヒト条約によって政治的統合を求めて一歩進んだ形で発足した欧州連合(EU)がこの旗を引き継ぎましだ。爾来、この旗についてはEUと欧州評議会が共同管理しています。

いうまでもなく、EUは、1950年5月9日の「シューマン宣言」でフランスとドイツが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立を発表したことを淵源としており、これを記念してこの日は「ヨーロッパの日」と定められ、今では5月9日には欧州各地でこのEU旗が掲揚されています。

青地は青空を表し、星はヨーロッパの人々の連帯を表しています。12個という星の数は加盟国の数と無関係に決まっているもので、12という数には、12ヵ月、午前午後の12時間、オリュンポスの十二神、キリストの十二使徒といったヨーロッパ共通の伝統や文化をも連想させ、「完璧さ」や「充実していること」を表しているのです。1986~95年までは、ECやEUの加盟国の数と星の数が一致していたのですが、加盟国の増加が続く見通しから、星の数には今後とも増減はないということになっています。

欧州旗は欧州連合のみならず、広くヨーロッパを代表するシンボルとして扱われていまする。ですから、加盟国の大使館のみならず、公共建造物、警察にも国旗と同様に掲揚されている例もあります。また、EU域内で発行される,自動車の運転免許証とナンバープレートにこのデザインを使うほか、ユーロの紙幣に描かれ、12個の星はユーロ硬貨に印刻されています。

近年採択されたボスニア・ヘルツェゴビナやコソボの国旗は、独立に当たってEU諸国の支援が大きかったことと、将来、EUに一員になりたいという強いEU志向を反映してこの旗から星や色を採用しています。ヨーロッパの他の諸国の国旗には紋章以外に星はまったく登場しません。

星の数について、私が知らなかった興味不快エピソードがウィキペディアに出ていますので、ご紹介しましょう。

旗のデザインを協議していた1953年、欧州評議会の加盟メンバーであった国と地域は15つあった。旗を決める際、「星の数を15個とし、星の一つ一つが現状の各加盟メンバーを表し、星の数は将来の加盟メンバーの増減にかかわらず変更しないこととする」という提案があったが、これが議論を呼んだ。

西ドイツは、加盟メンバーの中にその帰属が議論の対象となっていたフランス保護領ザールがあることから、西ドイツとザールが別々の星として表現される案に反対し、星はその表す地域の「主権」の意味を含むようにしようと提案した。

今度はフランスが星を14個とすることに反対し、それはザールの西ドイツへの吸収を意味すると抗議した。言い伝えでは、ここでイタリア代表が、15個でも14個でもだめだとすると13個となるが、それは不吉な数であり、また初期のアメリカ国旗が13個の星を円形にあしらっていたのでデザインが同じになってしまうと反対したという。

そこで政治的に問題のない星の数として、また同時に完全と無欠 (perfection and completeness) のシンボル数として、結果として「12」という数が採用された。

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