ロンドン五輪、台湾の「国旗」撤去騒動


台湾(中華民国)の国旗「青天白日満地紅旗」

いまさら遅きに失したと言われそうですが、ロンドン・オリンピック開会直前にこんな一幕があったのでした。私が気づかなかったのは、7月25日の産経電子版でこのニュースが流れた時、北方領土を訪問中で、気づかなかったのです。

台湾(中華民国)はIOC(国際オリンピック委員会)に加盟しているのですが、中国の反対でその呼称はChinese Taipeiとなっています。人口2800万もの国に対してまことに失礼とは思いますが、主権も問題を棚上げして現実的解決を図るため、やむを得ないのかもしれません。

従って、国旗もまた、本来の「青天白日満地紅旗」ではなく、オリンピックに参加するためにだけ用いられる特別のデザインの「梅花旗」が考案され、その後、五輪部分に少し手を加えて、バレーボール、サッカー、WBC(野球)などでも用いています。梅は国花です。

国旗にある青、赤、白の三色を用い、青天白日のマークを置き、心苦しいまでのデザインです。


梅花旗

ところで上の写真はロンドン市内の目抜き通りリージェントストリートに掲げられた台湾(中華民国)の。並んで掲げられているのは、右からタジキスタン、台湾、シリア、そしてスイス。

産経新聞は次のように報じています。

【台北=吉村剛史】ロンドン市内に台湾(中華民国)の「国旗」に相当する「青天白日満地紅旗」が、各国の国旗とともに掲げられ、その後、撤去されたことが25日、台湾の有力紙、自由時報をはじめ、台湾メディアで大きく報じられた。期間中のロンドン訪問客への歓迎の意を込めた地元の演出だったという。

同紙などによると、「国旗」騒動があったのは、ロンドン市内でも有数とされるショッピング街、リージェントストリート。

地元の協会で、五輪参加の206カ国・地域の歓迎のため「国旗」を6月中旬から順次掲げ、台湾(中華民国)の「国旗」は7月20日に、シリアとタジキスタンの国旗の間に掲揚。

現地で学ぶ台湾の留学生がブログで紹介したり、台湾からの旅行者らの記念撮影場所となっていた。

本来なら9月のパラリンピック閉幕まで掲げられるはずだったが、この台湾の「国旗」については現地時間24日午前、突然、撤去された。

これに関し、台湾の駐英代表、沈呂巡氏らも関心を示したが、協会からは明確な理由の説明は得られなかったという。

同協会では謝罪のうえ、現地時間25日夜までには台湾が大会で使用している五輪旗(中華オリンピック委員会旗)に掛け替えるとしている。

台湾は、1984年から中華台北(チャイニーズタイペイ)として五輪出場しており、大会では中華オリンピック委員会旗を「国旗」に代えて使用。また一般の国歌としては、「国旗歌」をそれに代えて使用している。

今回の歓迎の旗並みでの「青天白日満地紅旗」掲揚は、中台関係の複雑さにうとい地元協会の「うっかりミス」に「何らかの圧力、もしくは自主規制」があったと見られるが、台湾外交部(外務省に相当)では、「大会オフィシャルの演出でもないのに、なぜ撤去するのか理由がわからない」としている。

この記事にしてもよく判らないのは「地元の協会」が撤去したというのですが、「協会」ってなんでしょうね。

オリンピック憲章で言う組織委(OCOG= Organising Committee of the Olympic Gamesの略)は街頭の国旗にまでは責任を持たないでしょう。

1964年の東京五輪では、都内の町会の連合会が大西造花装飾株式会社に発注し、1500組もの「万国旗」(全参加国の国旗を繋げたもの)を飾りましたが、私は組織委の職員としてではなく、個人的にその指導に当たりました。さまないととんでもないデザインの各国旗になりかねないところでしたので。

閑話休題。国際社会からいつも締め出されがちな台湾の人たちの思いは如何ばかりかと思うと、なにか明暗がないものかと考え込んでしまいます。

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