吉田沙保里旗手、金メダルおめでとう!


開会式に次いで閉会式でも旗手を務めた金メダリスト・吉田沙保里選手

9日の決勝直後、喜びの吉田沙保里選手

7月9日(日本時間10日)、ロンドン五輪女子レスリング55キロ級決勝でカナダのバービーク選手(34)を破り、五輪3連覇を達成した吉田沙保里(29)が、「(日本選手団の)主将と旗手は活躍できない」というジンクスまでも吹き飛ばした。

吉田は今大会、開会式で日の丸の旗を持って、日本選手団を先導したが、2000年のシドニー五輪で旗手を務めた柔道の井上康生選手の金メダル獲得以来、このジンクスがあり、嫌な空気が日本選手団の間で漂っていた。

吉田は、12日の閉会式でも旗手として登場。大きな「日の丸」(東京五輪では1.2×1.8m、おそらくは同じ大きさか)を掲げて入場した。

「ジンクスを破りたい」。今回は吉田にとって有言実行の五輪だった。そうやって、自らを追い込んだ。

日本オリンピック委員会(JOC)から開会式の旗手を打診された時、吉田は、かつてないほどの不調で悩んでいた。ロンドン五輪は、過去の2大会ほど金メダルを取る自信はなかった。悪いイメージが頭に浮かび、寝つきも悪くなった。だが、人前では弱気な姿はおくびにも出さなかった。

昨年の世界選手権では9連覇を飾ったが、今回決勝で戦ったビーバークに得意のタックルを返され、大苦戦し、今年5月の国別対抗戦では迷って攻めあぐみ、ロシアの新鋭ワレリア・ジョロボア(19)選手に敗れるという波乱があった。

五輪3連覇がかかる今回は、“安全運転”に徹して3個目の金メダルを手に入れた。相手をねじ伏せたくなる闘争本能を抑え、僅差でも勝つことだけを求めた五輪3連覇だった。

女王の慎重さは、決勝のバービーク戦に表れていた。北京五輪準決勝でバービークと対戦した際には、第2ピリオドに一挙6点を奪って圧勝した。タックルで足を取り、背後に回り込んで組み伏せてやっと1点だから、いかに大きな点差がついたかが分かる。

だが、今回は返し技を狙って仕掛けてこない相手にじれたりせず、終盤に一瞬の隙を突いたタックルから得点。3―0、2―0で各ピリオドを制した。「以前は点数で勝っていた場面で、攻めて返されていた。勉強した」。むやみな攻撃を控え、サッとポイントを取って守るという無駄のないスタイルだ。初優勝したアテネの時は「もっと点を取りたかった」と不満そうだった吉田とは別人のような闘いだった。

日本選手団の旗手は1996年アトランタ五輪では谷亮子(旧姓・田村、現・参議院議員)。その最盛期の谷でさえ、金メダルを取れなかった。だが、吉田は「旗手もしっかりやって、試合にも勝つ」と周囲に宣言。ジンクスを破った。

これで、五輪、世界選手権での12大会連続優勝。男子グレコローマンスタイルのアレクサンドル・カレリン(ロシア)と記録が並んだ。そして、来月には世界選手権が。吉田には新記録への期待がかかる。

(この記事は、写真は朝日新聞、記事は朝日、読売、共同通信などを参考にしました。)

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