南太平洋、波高し①


「JICA’s World」より 大洋州

ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの「三つの地域」から成る太平洋地域の島国への影響力をめぐって、日本、アメリカ、中国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などが「あの手この手」で迫っています。

かつて日米両国は広範な地域で太平洋戦争を戦いましたが、日本は戦後、豊富なODA(政府開発援助)で親日的な関係を築いてきました。また、アメリカは安全保障面でこの地域を自国の内水のように振舞い、平和の維持にあたってきました。また、オーストラリアとニュージーランドは、援助と地域秩序の形成に大きく関わってきました。しかし、最近では中国が資金と海軍力の増強で海洋進出を大幅に拡大、太平洋の島々へのはとりわけアプローチを活発化させています。


パラオ

ミクロネシア

マーシャル
(以上の3カ国は、1919年から日本が信託統治)

ナウル(赤道直南の位置と12の原住民を表わす星というものの全人口が1万余)

キリバス(世界で最初に朝を迎える国)
以上の5カ国がミクロネシア地域

「三つの地域」の構成は、まず、西からパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル共和国、キリバス共和国から成るミクロネシア地域(ナウルとキリバズ以外は赤道の北)、パプアニューギニア独立国、ソロモン諸島、バヌアツ共和国、フィジー共和国からなるメラネシア地域(赤道とオーストラリアの中間)、そしてツバル、サモア独立国、トンガ王国、ニウエ、クック諸島から成るポリネシア地域(南太平洋で日付変更線をはさむ)に分けられて考えられています。

ミクロネシア地域のパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島は1919年以来、敗戦まで、国際連盟による委任統治領として、日本が基本的なインフラを整備し、熱心な教育を行い、開発と発展に大きく貢献したことは、今でも語り継がれ、また、独立後も日系の大統領や知事などが相当数、活躍してもいます。


パプアニューギニア

ソロモン

バヌアツ

フィジー(中国と急接近)
以上の4カ国がメラネシア地域

各国とも、一見「楽園」のように見られていますが、内情はさまざまな問題を抱えています。地球温暖化による水没の危機をいわれるツバル、財政の半分以上を外国からの援助に頼っているミクロネシア連邦やマーシャル諸島。他の国々でもほかには外国漁船からの入漁料、海外に出稼ぎに行っている人からの送金が国家財政を支える3本柱なのです。観光を売り物にしている国もありますが、主要国からあまりに遠く、航空便も限定されていることから美しさの割には収入の大きな支えとまではなっていません。

そこで、必然的に外国からの援助に大きく依存することになりがちですが、それには太平洋の真ん中に散らばっていることからくるさまざまな難しい問題があるのです。主要国からの遠隔性に加え、国の範囲が広すぎて輸送、教育、福祉など社会インフラの整備に手が回らないこと、自然災害の多発などが理由です。


ツバル

サモア

トンガ(かつては大相撲にも力士が)

ニウエ(外交安保をNZ依存。中国のみ独立承認)

クック諸島(日本は2011年3月25日に承認。国連は未加盟)
以上の5カ国がポリネシア地域。

そうした中で日本が主唱して3年に一回開催している太平洋・島サミット、その6回目の会合が5月26、27の両日、沖縄県名護市で開かれました。太平洋の島国の首脳らが参加して行われたこの会議に今回初めて、米国の代表が招待されました。会議はこれを歓迎し、米国の存在感をあらためて示した形になりました。オーストラリアとニュージーランドはもとよりの参加国です。

日本にとってこの地域は、悲願とする国連安保理常任理事国入りの支持を得るためにすり寄ったということは確かです。小国ばかりとは言え、13カ国が国連に加盟しています。これらの国々は東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国を上回る票を持っているのです。
しかし、それ以前に、水産、鉱物、エネルギー資源の供給地であり、重要な海洋輸送路でもあるわけです。

今回の島サミットで野田首相は、今後3年間で日本が最大5億ドル(約400億円)の資金援助を行うことを表明し、海洋の安全保障・漁業・環境分野の協力を行うことを約束しました。また、70万ドル(約4.5億円)を拠出する自然災害リスク保険の創設などを盛り込んだ「沖縄キズナ宣言」を同日午後に採択しました。

日本は政府による資金援助以外にも、資源開発を中心に、島嶼国への日本企業の投資促進にあたる役割を強調しました。現にサモアには自動車のワイヤーハーネスで世界でトップクラスものシェアを持つ矢崎総業が90年代からサモアに進出、人口18万のこの国で約800人を雇用しています。こういう進出が何よりも良いと思います。通信事業の分野でも日本企業の進出が期待されています。

「島サミット」ではまた安全保障面で中国を念頭に、各国の協力を明記し、海洋における各国の権利・義務を定めた「国連海洋法条約」の重要性についても確認しました。無秩序な進出には厳しく対応しうる枠組み作りが大切です。

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