普賢菩薩象と白象の国旗


タイの国旗

ラオスの国旗

GWには日頃あまりテレビ番組を見ない私でも、美術や音楽など、なかなか質の高い内容のものが多いので、ときどき食い入るように見てしまうことがあります。今朝も、各地で開催されている特別展を紹介する番組があり、その中で普賢菩薩像のことが話されていました。

これは、6月10日まで国立東京博物館で開催されている「ボストン美術展」に展示されている「普賢延命菩薩像」です。平安時代にあたる12世紀中頃のもので、フェノロサ・ウェルド Fenollossa-Weld・コレクションです。「普賢延命菩薩像」を英語で、Fugen enmei, the Bodhisattva of Universal Virtue who Prolongs Lifeと 説明しているのが仏教の知識の乏しい私にむしろ納得できたように思います。実に美しくも優しく、賢そうなお姿に思わず合掌したくなるような気分になりました。

そこで、きょうは普賢菩薩と白象について触れてみたいと思います。

普賢菩薩は、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍を務める菩薩であり、中国・四川省の峨眉山がその霊場となっています。古くから日本人の、とりわけ女性の信仰の対象としていまでも人気が高いようです。普賢菩薩のサンスクリット語はサマンタ・バドラですが、これは「普く賢い者」の意味であり、普賢菩薩が、世界にあまねく現れ、仏の慈悲と理知により人々を救う賢者であることを意味しています。加えて、女人成仏を説く『法華経』に書かれていることから、日本では平安中期以降、そのこの経典が普及したことによって、主に高貴な女性の信仰の対象となってきたようです。『法華経』は、「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」、すなわち「正しい教えである白い蓮の花」の意であり、大乗仏教のもっとも大切な経典の1つであるとされています。

そして、日本はその大乗仏教の盛んな国ですが、この白象は上座、大乗両仏教の大きな流れがある中で、小異に拘らず、好まれているものといえましょう。


国宝・普賢菩薩騎象像
(東京国立博物館蔵)

国宝・普賢菩薩像
(鳥取・豊乗寺蔵)

普賢菩薩像
(相国寺蔵)

ところで、普賢菩薩といえば白象であり、白象といえば、国旗ではタイとラオスを連想してしまいます。


タイの軍艦旗。また王室の旗には今でも白象が見られます。 

1975年までの王政時代のラオス国旗。

2011年秋、バンコクからシャム湾にそそぐチャオプラヤ川が氾濫し、アユタヤやバンコクの中心部まで深刻な洪水が及び、多くの日本企業にも被害が及び、これによる経済的な打撃は、世界経済を困惑・混乱させるほどの規模でした。

タイとラオスの両国はインドシナ半島の中央に位置し、ともに相手の言葉を理解できるくらい言語が近く、また、仏教(南方上座仏教)の盛んな国です。1975年にラオスの王政は倒れ、共産主義国家を標榜するようになりましたが、毎朝、仏僧が街を托鉢して歩く姿は、昔も今も変わっていません。立憲君主国で王家への敬愛の情が特段に深いタイでもそれは同じで、友人・知人の例をみても、戒律の厳しい南方上座部仏教が国民一人ひとりの心にしかと受け止められ、人生の基本をなしているように思います。

タイは「シャム」の名前で、13世紀に、クメール(カンボジア)から分離して以来、一貫して独立を保ってきました。1949年にタイに変更しましたが、これはタイ語で「自由人」を意味するのだそうです。

国旗の赤は国民と国家、青はタイ王室(チャクリ王朝)、白は仏教(上座仏教)で神聖とされる白象にちなんだもので、仏教への信仰を象徴しています。

ナパーライ王(ラーマ2世、1809~1824)は、赤地の上に白いチャクラ(仏教の輪)を描きその内側に白象を載せた国旗を採択しました。1855年、モンクット王(ラーマ4世、1851~1868)は、王家のシンボルである白象を中央に描いた旗を国旗としました。1899年には3頭の白象の発見にちなみ、建国の伝説につながるこの慶事を、国を挙げて喜んだそうです。

実際に白象は今でも時折誕生するようで、日本財団の笹川陽平会長のブログによれば、昨年、バンコクで案内され、見たそうです。

しかし、1916年、ワチラーウット王(ラーマ6世、1910~1925)が洪水の被災地を視察した時、白象の国旗が逆さまに掲揚されているのを見て、そうした事態が起こらないように、上下左右のないデザインにしたというエピソードが伝わっています。

第一次世界大戦に参戦したタイ(シャム)は、諸外国で三色旗が近代化の旗印として使われていることに刺激を受け、翌1917年9月、時のラーマ6世がタイの、「トン・トライロング」(Thong Trairong 「三色旗」の意)と呼ばれるこの旗を制定し、1936年11月、公式制度が整備された際にもこの旗が国旗として確認されました。

なお、王旗は今でもこの国旗の中央に白い象を描いたものです。

ところで、ライスの国旗です。これは、メコンに浮かぶ満月を描いたものです。メコンはタイとの国境を流れるインドシナ半島第一の大河、日本のODAによる鉄橋が掲げられ、それがラオスの紙幣デザインにも取り入れられています。国旗の白い丸はラオス共産党のもとでの団結を表すとも言われていますが、私は、これもまた白象に由来して、国民の仏教徒の強くて深い絆を示しているように思えてなりません。

それはそうと、普賢菩薩はなぜ、白象に乗っている姿が多いのか?私は仏教のことはこれ以上のことは解らないのです。どなたか教えていただけませんでしょうか。

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