船舶の国旗掲揚義務


逃走する「不審船」を高速追尾する巡視船「いなさ」(海上保安庁のHPより)

横浜の大学生Nさん(法学部2年生)から、「不審船」と国旗の掲揚についての基本的な原則を教えてほしいという質問をいただきました。簡単に説明しましょう。

国際法は旗国主義 principle of the exclusivity of the flag state のもと、基本的に「海上を航行する船舶はいずれかの国家に登録されなければならず、船舶が登録された国家(=旗国)の管轄権に服すること」を求めています。

また、「公海において船舶は、一国のみの旗を掲げて航行し、条約上に明文の規定がある場合を除いて、旗国の排他的管轄権に服する」とされています。これによって、船舶は国旗またはそれに準ずる旗(海軍艦船用国旗、商船旗など)をメインマストに掲げて航行することが義務付けられています。

もちろん、国連海洋法条約には海賊行為の抑止(100~107条)、奴隷の運送(99条)、麻薬の不法取引(108条)、無許可放送の防止(109条)、追跡権(111条)の行使の場合は旗国の管轄権の例外としています。さらに、臨検の権利(110条)も規定しています。

旗国主義は近世において確立された原則ですが、しばしば管轄国ではない国旗を掲げることによって偽装し、この原則の価値を損なう事犯が発生あることを歴史は示しているのです。

2001年12月22日、奄美大島付近で発見された「不審船」は国旗を掲揚せず、海上保安庁巡視船による停船命令にも従わず、追尾した巡視船と交戦した末、東シナ海における中国のEEZ(排他的経済水域)内で自沈したのでした。後の調査により北朝鮮の工作船であったことが確定しました。

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