スーダンと南スーダンが武力対立 – 日本のNGOも自衛隊も活動中


スーダンの国旗(かつての国旗は青黄緑の横三色旗で、青はナイル川を表わすものであった)

南スーダンの国旗(国旗に6色というのはこの国旗と南アフリカのみ。青はナイル川。黒白赤緑はアフリカ統一の色で、ケニア、マラウイなどの国旗に共通のもの)

認定NPO法人難民を助ける会(柳瀬房子会長)ではスーダンと南スーダン数ヵ所にスタッフを派遣し、井戸掘り、給水、保健衛生などのプロジェクトを実施しています。また、陸上自衛隊は南スーダンのジュバで国連平和維持活動(PKO)に参加しています。

難民を助ける会が数年前から、今の南スーダン地方で飲料水の確保を中心に活動を展開しているのは、今のスーダンでは首都ハルツームやカドグリ、カッサラなど、また南スーダンでは首都のジュバや、コスティ、ダルフールなどで、一部は戦闘状態になる危険があるからです。ですから事務所を閉鎖して他に移ったりしています。陸自の活動地も国境から400キロ以上離れ、当面、紛争地とはいえないでしょう。

ただ、その両国がいまや全面武力衝突寸前まで来ています。

そして、石油の産地である南スーダンにも、そのパイプラインが通るスーダンにも中国の進出がとても大きいのです。スーダンでは2005年までの約22年間も内戦が続き、昨年7月に、イスラム教徒が主体のスーダンから、キリスト教徒主体の南スーダンが離独立しました。両国の国旗を見るとわかるように、イスラム諸国の国旗に共通な4色のデザインであるスーダンと、それとの明確な区別をつける青(イスラム諸国の国旗には原則的に登場しない色)を用いているのが南スーダンなのです。

しかし、両国の国境が未確定で、しかもその周辺が産油地帯。南スーダンの原油を持ち出すためのパイプラインは唯一、スーダンを通るものしかないという状況なのです。

国際社会は北朝鮮問題以外には、初めて海外の紛争を対話による解決でと、中国に仲介・斡旋を期待しています。中国は、4月25日、近く鍾建華アフリカ担当大使を両国に派遣すると発表しました。南スーダンのキール大統領は23日から訪中、25日に李克強副首相、呉邦国全人大常務委員長と会談するなど、積極的に中国に擦り寄っています。

南スーダンは先に、ヘグリグ油田地帯を掌握していますが、スーダンのバシル大統領は「われわれがジュバに到達するか、南がハルツームに到達するまで戦う」と、大規模攻撃を警告する演説をし、実際に、空爆に踏み切りました。但し、広大な相手国(両方合わせると日本の6倍もの面積)を全面的に攻撃対象にするだけの戦闘能力はありません。

バシル大統領は18日、南スーダン政府を率いるスーダン人民解放運動(SPLM)の打倒と同国の「解放」を宣言、戦闘がさらに大きくなる懸念が強まっています。

特に、スーダンが南スーダンに対し大規模攻勢に出る可能性が強まっています。 両国間では、ヘグリグ油田地帯周辺で3月下旬から衝突が激化。双方が相手側の「武装勢力」掃討を名目に越境攻撃を続ける中、南スーダン軍は4月10日に同油田の「制圧」を宣言しました。 南スーダン政府報道官はAP通信に「我々は一切、国境は越えていない」と述べ、ヘグリグの領有権を主張。一方で「スーダンは友好国だ」とし、交渉による解決を望む姿勢をみせてもいます。

両国の油田の多くは南側にあります。スーダンは南スーダンの独立により原油生産量の75%を失い、財政を圧迫されているのです。スーダン側は「使用料の未納」を理由に昨年末、南スーダン産原油を差し押さえ、南スーダンは対抗措置として今年1月に全ての原油生産を停止するなど資源をめぐる対立が続いていました。

ここは中国に委ねるだけではなく、国連として緊急に対応する状況ではないでしょうか。国連安保理は17日、戦闘停止を促すため、両国への制裁の検討に入りました。しかしスーダンは「攻撃を受けた側も対象になるのは不公平だ」と主張、南スーダンもヘグリグ制圧は「南への攻撃拠点を潰すための自衛行動だ」としていて、言い分は平行線のままです。

南スーダンの首都ジュバでは難民を助ける会ほかJEN、JVC、WORLD VISIONなど日本のNGOのメンバーや国連平和維持活動(PKO)参加の自衛隊が活動していますが、今のところ、大きな影響はないようです。なお、バシル大統領というのはこれまでの「行状」に対して、西部ダルフール紛争を巡る戦争犯罪などの容疑で国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ています。

南北スーダンを巡る主な動き

【2005年】
1月 南北が和平合意。1983年から続いた内戦が終結

【2011年】
1月 南部独立の是非を問う住民投票。約99%の賛成で独立決定(2月)
7月 南部が「南スーダン共和国」として独立。国連に加盟

【2012年】
3月 国境付近の油田地帯で軍事衝突

4月 南スーダン軍がスーダン南部のヘグリグ油田地帯を制圧

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