新疆ウィグルは「東トルキスタン」となれるか


「東トルキスタン」独立運動の人たちが掲げる「国旗」。
中国の「五星紅旗」とは同じ国とは思えないイメージの隔たりがあります。

第4回世界ウイグル会議(本部=ミュンヘン、2004年創立)代表大会が5月14日から17日まで東京で開催されます。準備のため、同会議のドルクン・エイサ事務総長が4月3日、来日しました。中国政府関係者は「これは中国政府に対する反体制組織であり、こうした重大な反中活動が日本で行われれば、日中関係に大きな影響を与える」として、開催阻止に向け、日本政府への圧力も辞さない構えだ、と報道されています。

世界ウイグル会議の議長は、ラビア・カーディル女史。ノーベル平和賞の候補にもなったことがある人です。組織全体としては、ウイグル族の政治的権利の確立などを目的としていますが、「東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)」の中国からの独立をめざすメンバーも多いとみられています。2009年7月に同自治区の中心都市ウルムチで起きた暴動を主導したしたとして同会議を厳しく批判、その活動を監視し、外国で関与した者には帰国ビザを発給しないなど対応措置を講じています。

東トルキスタンは、タリム盆地とその中心に位置するタクラマカン砂漠の周辺ですが、世界史に出てくる突厥、匈奴、蒙古などの諸族が活躍した地域であり、シルクロードのあった地域です。現在は主としてテュルク(突厥)系民族が居住しています。1949年に中華人民共和国に併合されて、新疆ウイグル自治区とされています。

年平均降水量はわずか145mm(!)。そのために一日の中でも寒暖の変化が激しく、「朝に綿入れ、昼に半袖、夜に火鉢をかこんでスイカ・メロンを食べる」との喩え話があるのだそうです。川もたくさんあるのですが、海まで届く前に蒸発してしまう内陸河川がほとんどでウルムチやカシュガルといった中心地はオアシスにできた町です。

産経新聞によると、今回、開催地が日本に決まったことについて、日本ウイグル協会のイルハム・マハムティ会長は、「会議開催を通じて中国当局の迫害を受けるウイグル族が置かれている厳しい状況をより多くの日本人に知ってもらいたい」 また、欧米と比べて、日本政府が、中国当局による少数民族への迫害をあまり問題視しないことを指摘したうえで、「状況を少しでも改善できれば」と語ったということです。

エイサ事務総長は、日本滞在中、国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)主催のシンポジウムに出席するほか、ウイグル族を支援する国会議員らとも面会する予定。ただ、代表大会の日程は、北京で行われる日中韓首脳会談と重なることもあり、中国からの猛反発は必至ともいられています。

最悪の場合には、日本政府が同事務局長らにビザを発給しないということもあるのではという見方もありますが、その場合には、中国の人権問題として櫻井さんたちはもちろん、各方面から舌鋒鋭く、「中国に屈した日本政府」との批判の声が上がりそうです。

ところで、その「東トルキスタン」はムスリムの人たちが大部分で、国旗も三日月です。ただ、青が主体の国旗というのはイスラム諸国ではマレーシア以外になく、中国の「五星紅旗」とのイメージが際立っているデザインです。私はあえてそこを強調したのではないかと見ています。

数年前、私はマハムティ氏を招いて講演会を開いたことがあります。同行者や通訳もみな中国人とは似ても似つかぬ碧い目の人たちでした。それでも、写真を撮らないでくれといいつつ、通訳はマスクをしながら話すという防衛策をとっての仕事ぶりでした。

私は独立運動をしている人たちの言っていることをすべて鵜呑みにしているわけではありませんが、東トルキスタンやチベットでのように中国が基本的人権を侵し、多くの「自国民」を殺害している事実(中国のいう「南京事件」の比ではありません)が日本のメディアにはめったに登場しないのはなぜでしょうか。

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