国旗と星の物語①


中華人民共和国の「五星紅旗」

ベトナムの「金星紅旗」

中華人民共和国の建国が宣言された1949年10月1日、北京の天安門前広場で「五星紅旗」と呼ばれる新中国の国旗が劇的に掲揚されました。これより先、同年6月16日、全国人民政治協商会議は新国旗を制定することを決定し、人民日報紙上を通じ、公募が行われました。短期間でしたが、3,012点の作品が寄せられ、同年7月に、経済学者で芸術家でもある曾聯松の作品が採択されました。

五つの星は、大きな星が中国共産党を、4つの小さな星が農民・労働者・知識階級・愛国的資本家を意味するといわれてきました。それが最近では漢、満州、モンゴル、ウイグル、チベットの五民族を意味するなどとも説明されています。全体で、それらの諸部族が共産党の指導下による全国民の団結を意味すると解釈されています。

しかし、理想と現実はどこでも一致するとは限りません。実際には昨年は全土で25万件以上の反政府抗議運動があったといった情報もあり、一党独裁の中国の限界が見えてきました。人権、民主主義、自由があまりに不十分であり、そして公正と正義を重んじる文化の乏しさが、この国への世界的な不信を呼んでいます。

それはさておき、国旗で社会主義の星といえば、ベトナムの「金星紅旗」も有名です。また、北朝鮮の赤い星、さらにはかつてのハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、アルバニア、ユーゴスラビア、モンゴルの国旗に社会主義を標榜する国家であることを示す黄色や赤の星、黄色で縁取られた赤い星などがついていました。

国旗の星はそのほとんどが、団結、統一といった気持ちを込めたものです。

戦前の大日本帝国陸軍では1900年の「陸軍服制」(勅令第364号)により、全将兵の軍帽に星が刺繍されていました。桜花の萼(がく)の形を模したとも、弾除け(多魔除け)の 縁起をかついで採用されたとも言われていますが、その起源や意味についてはまだ十分分かっていません。

その帝国陸軍には「星の数よりメンコの数」という言葉もありました。この場合の星は「階級」を表します。欧米でもone star general(准将)、four star general(大将)といった言葉がありますが、そんな最上層部の話ではなく、兵の階級でも、襟にいくつ星を付けているかではなく、軍隊で何年、メシを食ったかで「実力」ないし「真価」が決まるといった意味でしょうか。

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