幕末の国旗研究① – ハーバード大教授との出会い

幕末の日本、アメリカのペリー提督が浦賀にやってきて(1853)、上も下も「たった四杯で夜も眠れ」ないという騒ぎになりましたが、しかし、国旗の視点からこれを見れば、「それ以前に各国の国旗を十分研究していたに拘らず、肝腎の日本の国旗は決まっていなかった」、その結果、米国側が32個の星の付いた「星条旗」を掲げて上陸してきたのに対し、応じた日本側には国旗がなく、徳川家の葵の御紋や各藩それぞれの家紋を描いた旗指物を立てていたという状況でした。

ここでは、数回に分けて、まず、幕末の日本に関わる国際情勢と日本における国旗研究について述べたいと思います。

私が本格的にこうした書籍を追求しようとしたのは、2001年の「9.11事件」で停止された空路が再開された最初の便でワシントンを訪問した時でした。柳井俊二駐米大使のお計らいで自動車の提供や各種の便宜をお諮りいただき、国務省や国防省、関係の大学などを、効率よく回り、所期の目的を概ね達成することが出来ました。

そこで、以前からいろいろ交信していたハーバード大学のWhitney Smith(ホイットニー・スミス)教授を訪ねるため、ボストンに向かいました。Smith教授は私と同年生まれですが、国旗や旗章学の世界的権威で、南米・ガイアナが独立するときには国旗のデザインを委嘱された人でもあります。


国旗研究の世界的権威
Whitney Smith前ハーバード大学教授

空路ボストンに着くや、大きな手を開いて握手を求めながらあたたかく迎えてくれました。案内されたのは教授が主宰するWorld Flag Center、2階建てのアメリカらしい住宅を改造して世界中の国旗関係の貴重な資料を収めておられました。そこで古今東西の国旗の刊行物を自由に見せていただいた後、幕末時代に日本で刊行された10余点の国旗の書籍を見せていただき、日本語を解さない教授の依頼でいろいろ鑑定めいたことをしてあげたのです。おかげで?夜にはおいしいイタリア料理をごちそうになりました。


Smith教授の主宰するFlag Research Centerで意見を交わすタディ(右)

Smith教授は所蔵する資料を自由に見せ、いかなる質問にも率直に答えてくれました。

『異国船〇図』は著者を確認中です。
もしかしたら、日本国内にはこの本はないかもしれません。

内容からして明治になってからの国旗絵巻と思われます。

日本語を解さないSmith教授に私からも収蔵品について説明をして差し上げました。

宿舎に戻ってから、日本のこうした稀覯本が日本ではどうなっているのか心配になり、国立国会図書館のスタッフと相談しながら、愛知県西尾市の岩瀬文庫、早稲田大学図書館、三重県津市の歴史博物館などを歴訪しました。岩瀬文庫にはこれまで3回行ってきました。多くの方々に古文書の解読や資料の提供でお世話になり、挙句は神田の古書専門店主にも協力してもらい(といっても私には天文学的値段でしたが)、散逸するくらいならと計4、5点の貴重な書籍を購入することが出来ました。

約200年前の洋学研究の偉人たちの業績を偲び、国際的な危機を迎えつつある中で、不自由な研究環境をものともせず、国旗について紹介している業績に限りない敬意をいだいて今日に至っています。

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