縦横比の統一

国旗の縦横比について

各国の国旗の多くは旗面の縦横比が規定されています。しかし、大使館でのように、単独でその国の国旗を掲げる場合はこれを大いに尊重するのは当然ですが、複数の国旗を同時に掲揚したり、掲示する場合には、それを尊重しすぎるのはいかがなものでしょうか。

実際、国連本部やオリンピック競技大会ではUN Flag CodeやOlympic Charterで各国旗の統一して掲揚することを定め、実際には2:3でそろえています。


国連本部前には縦横比を2:3に統一した加盟193カ国の国旗が並んでいます。

縦横比の統一があってこその万国旗です。横浜市鶴見区のサルビア会館で。

東京オリンピック(1964年)の時、タディは組織委競技部式典課専門職員として各国旗製作の仕様書を書き、参加94カ国・地域の旗を全部デザインしました。その時、久保照子さんという、国際児童協会をお父様と運営し、国旗を通じて国際理解をという活動をしておられた方が、今の迎賓館(旧赤坂離宮)にあった組織委の事務局に何度もお越しくださっては、「各国旗はその国旗の縦横比を遵守して製作すべきである」と力説されました。

ところが、先にも書いたように、オリンピック憲章では「各国旗は同じ大きさ equal size とする」と決められているのです。そのことを縷々説明しても、なかなかお引き取りいただけませんでした。

最後は「では等面積で製作すべきです」とおっしゃるのです。これは一つのお考えかもしれません。しかし、そのためには製作があまりに複雑でまた、手間と費用がぐんと増えますし、屋内外で掲揚する場合、留め金の調整が大変なことにもなりかねません。

結局、タディは関係するデザイン委員会(勝見 勝委員長)ほかにご検討いただき、すべての国旗を2:3の縦横比で用意させていただきました。ちなみに、少なくとも戦後のオリンピック競技大会は、すべて2:3の縦横比の国旗を使用しています。それ以前のものは公式な報告書が日本にはほとんど残っていないこともあり、よくわかりません。今度のロンドンでのオリンピック大会でも「ユニオンジャック(ユニオンフラッグ)」本来の1:2に各国の国旗の縦横比を合わせるのではなく、おそらく英国旗のほうを2:3にデフォルメして準備するのではないでしょうか。ロサンゼルス、ソルトレイクシティなどアメリカでは何度も夏季冬季のオリンピック大会が開催されましたが、いずれも「星条旗」の1:1.9に各国旗を合わせるのではなく、「星条旗」を2:3にデフォルメしています。

タディは長野での冬季オリンピック(1998年)では式典担当アドヴァイアーとして、またまた参加48カ国の国旗を準備しましたが、その時も東京オリンピック同様、約1年前に実際に製作した国旗の実物を各国のNOC(オリンピック国内委員会)に送り、デフォルメの仕方を含め、それでいいかと承認を求めました。アイルランドのNOCとは緑とオレンジの色合いについて航空便で何度も微妙なやりとりをしましたが、縦横比を統一することについては全部のNOCが何のクレームもなく承認してくれました。

2年前、オバマ大統領が来日し、サントリーホールで演説を行ったことがありました。お招きをいただきましたのでタディも聴衆の一人となりました。演説の中身もさることながら、タディが注目したのはステージに交互に並ぶ日米両国旗でした。掲揚台を含めすべてはアメリカ側が準備したものですが、ここでも、2:3の「日の丸」と1:1.9の「星条旗」が同じ2:3で多数並べられていました。


2009年11月14日、東京のサントリーホールでアジア重視の演説をする米国のオバマ大統領。背景には日米両国旗が均一の縦横比で交互に掲揚されています。ちなみに、この国旗も掲揚台もすべてアメリカ製です。

ちょうどこれを書いているとき、コロラドスプリングスでの4大陸フィギュアスケート選手権大会の生中継が行われている。健闘及ばず浅田麻央選手が2位、村上加奈子選手が3位の様子。会場内では一位のアメリカ選手を応援する「星条旗」が何枚も振られていますが、どれも2:3のものです。

要は、各国旗を同じ大きさに作ることによって、参加国・加盟国を同格に扱うということが大事かと思います。

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