三色旗に見るフランスのナショナリズム

2007年4月から約3ヶ月、東京・乃木坂の国立新美術館で「大回顧展モネ」が開催されました。印象派最大の巨匠のひとりとされ、代表作「睡蓮」など静かな情景を数多く描いたモネですが、この企画展で公開されている「モントルグイユ街、1878年パリ万博の祝祭」(オルセー美術館蔵)はひと味違うモネの一面をのぞかせ、多くのファンを釘付けにしていました。私もその一人です。


「1878年パリ万博の祝祭」
1878年、オルセー美術館蔵 Photo:RMN

建物の窓という窓に三色旗がはためくこの光景は、129年前の6月30日に3回目の万博の成功を記念して行われた祝祭を描いています。双方とも労働者階級が住まう街です。群衆のざわめきが今にも伝わってくるような賑わいと、高揚感あふれる画面が印象的です。

この三色旗はパリ市の要請で掲揚されたものですが、モネはこの情景を2か所で描いています。どちらも労働者階級が住む街でした。この作品はパリの中央市場があったマレ地区のモントルグイユ街で、建物の上から通りの北方向に目をやり、モネらしい手早くやや荒々しく大胆な筆致で表現しています。間近で見ると絵の具の厚重ねにしか見えませんが、離れてみると旗がゆらめき、群衆が嬉しそうに歩くように見えるから不思議です。

モネの同じような作品に「サン=ドニ街、1878年6月30日の祝日があります。画面右中央の三色旗の白の部分に「VIVE LA FLANCE(フランス万歳」と記されています。

ナポレオン三世によるフランス第二帝政は1870年9月からのプロイセンを中心とするドイツ軍との戦さ(普仏戦争)に敗れ、東隣に帝政ドイツと言う巨大な統一国家が誕生しました。そして、パリでは続くパリ・コミューン以降、街頭で市民が群がることが禁じられていたので、久々に迎えたこの祝日は特に盛り上がりました。

フランスに新たな愛国心が沸き起こったのもこの時でした。

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