返上相次ぐオリンピックは「白象」になってしまうのか

<東京五輪、「白い象」避け政府債務増やすな>これは日本経済新聞に加藤 出東短リサーチ社長チーフエコノミストが書いている見出しだ。

その話に入る前にタイとラオスの白像の話から始めよう。白像が国旗に登場したのは、タイとラオス。タイでは今も軍艦旗は国旗に白像のデザインだ。

現在のタイの国旗。「トイ・トライゴング(三色旗)」と呼ばれ、赤・白・青はそれぞれ国家、仏教、王室を表わすとも言われている。

  

19世紀中ばからは白像を用い、世紀末ころからはそれに“衣装”と台を付したデザインになった。

しかし、1910年の洪水の際、王が市街地の視察に出かけたところ、国旗が逆さまに揚がっていたため、今後そのような間違いが起こらないようにと現在の国旗に変更したとされる。

1975年、社会主義政権が採択し、現在に至るラオス国旗。メコンに浮かぶ満月を描いたもの。右は、1952年以来のラオス王国時代の国旗。

以下加藤氏に拠る。

ホワイト・エレファント(白象)とは、「無用の長物」を表わす言葉である。

昔のシャム(現タイ)では白い象は神聖と見られ、王様に献上される習わしがあった。しかし、王様は嫌いな家来にあえてその象を与えた。神聖な象なので日常の用途には使えず、一方で餌代が非常に高くつくため、白い象をもらった家来は経済的に破綻することとなった……という逸話がその語源となっている。

加藤氏は、「近年、オリンピックの誘致を検討している海外の多くの都市で、大会関連の建築物の「ホワイト・エレファント化」をいかにして避けるかが大きな関心事となっているオリンピックは場合によってはこの白像と同じようなものとみなされる」と心配し、説明する。

2022年の冬季オリンピックの開催都市選定では、候補に名乗り出ようとした都市、または名乗り出た都市が、この問題で住民の反対に遭い、続々と辞退している。スイスのサンモリッツとダボス、ドイツのミュンヘンでは、昨年、オリンピック開催に伴う費用や環境問題への懸念が高まって、いずれも誘致が住民投票で否決された。スウェーデンのストックホルムは、スラローム競技のためのスロープ、ボブスレーやリュージュのコースの建設費に政府が難色を示し今年1月に辞退が決まった。ポーランドのクラクフでは、5月に行われた住民投票で70%近くの人々が財政問題や透明性を理由に反対票を投じ、招致が否決された。それらの辞退により最有力候補となったノルウェーのオスロも、この10月初めに政府が資金上のサポートを拒否したことで、辞退が決まった。同国の世論調査では、国民の過半数がオリンピック開催に反対していた。今年のソチ・オリンピックでロシア政府が湯水のごとく資金を投入したことで(過去最高の510億米ドル)、ノルウェー国民はより一層嫌気したと言われている。

米紙ワシントンポスト(2014年10月2日付)は、残りの候補都市が、08年に夏季オリンピックを開催したばかりの中国・北京と、政権に問題があると見られているカザフスタンのアルマトイだけになってしまい、IOC(国際オリンピック委員会)は困っていると報じている。このように、世界の多くの都市は、オリンピック開催のために財政赤字を膨らますことにいまや激しく神経質になっている。大会ごとに世界のあちこちに新たな巨大施設を建築していくこれまでの運営方式は明らかに曲がり角にきている。

1964年の東京オリンピックの際は、同年から景気後退が始まり、翌65年に山一証券が経営危機に追い込まれた証券恐慌が発生した。そういった流れにならぬよう、長期的な経済効果を狙っていく必要がある。

加藤氏の論文は長文なので、引用はここまでとするが、このあと、日本経済の内容を分析し、オリンピックの経済効果に目を向けて、日本が目指す次期東京五輪への可能性を示し、警鐘を鳴らしている。

私はそれプラス、日本人の国際化や教育上の効果をオリンピックに強く期待しています。50年前、日本人は明らかに変わりました。自信を回復したし、世界に目を向けるようにもなりました。

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