日本共産党と赤旗

赤旗は、フランス革命、特に1848年の「2月革命」以降は、政治的には革命あるいは革命思想である社会主義や共産主義を象徴する旗。特に農民を表わす鍬と労働者の象徴であるハンマー(鎚)、赤や黄色の星、黄色で縁取られた赤い星などと組み合わせて、国旗や国章に使用されることが多い。


代々木の交差点の車中から高速道を越しに見た日本共産党本部の赤旗。

日本共産党の党章。農民を表わす稲穂と労働者の象徴である歯車が描かれている。

1848年2月革命時のパリ。バリケード戦の様子を描いた絵画。ウィキペディアより。

日本共産党の党紙は「しんぶん赤旗」、中国共産党の党紙は「红旗」。中国国産自動車のブランド名にも紅旗がある。

赤旗はフランス大革命(1789)当初は,戒厳令が発動されていることを示す旗だった。しかし、1791年、革命派中、急進派をラファイエット将軍が弾圧した「シャン・ド・マルスの虐殺事件」を契機に、逆に、これに抗議する旗印として、赤旗を革命旗に採用したと伝えられる。

1848年の「2月革命」では詩人で政治家のラマルチーヌはこの時、大きく盛り上がった共産主義へと向かう運動を抑え、「赤旗はシャン・ド・マルス広場を一周したにすぎないが、三色旗は世界をめぐった」との明言を吐き、以後、フランスでは赤旗が政治の中心を制しそうになったことはない。

しかし、赤旗は革命を象徴する旗とされ、フランス革命の階級闘争的側面を引き継ぐことを自称する社会主義や共産主義団体、特に、ソ連を始めとする社会主義国家が国旗や共産党旗・党章に採用している。また、白・黒・黄色など肌の色と関わらず、全人類には同じ赤い血が流れているということから連帯の象徴ともされてきた。

国旗としての赤旗は、1921年のソ連国旗が最初。現在でも、中国、ベトナム両国旗、そしてアルバニア(1912年の独立以来、赤地に黒で「双頭の鷲」)国旗のベースになっている。

日本共産党は各国の共産党とは違うというが、同じような党旗・党章で共産主義社会の実現を目指していると言えば、私には違いが理解しがたいものになる。

もし、各国の共産党と違うなら、党名を変え、党旗・党章をユニークなものにしてはどうか。

日本共産党とは多くの点で意見を決定的に異にするが、評価できることもいくつかある。例えば、政党助成金を受領せず、党員が実収入の1%を党に納めていること。また、綱領で「市民」ではなく「国民」と表現していることなどである。北方領土についても、戦争と関わりなく1875年の「樺太千島交換条約」で日本の領土としたのだから、全千島が日本の領土であるという主張など。但し、これは1951年のサンフランシスコ平和条約で日本が千島を放棄している以上、あらためてサンフランシスコで講和会議を開いて論議するほかなく、現実的にはありえない理想主義に過ぎないことも付記する必要がある。

私は先輩や仲間とともに1973年以来、日ソ(露)専門家会議などソ連・ロシアと計44回にわたり率直な討議を重ねてきたが、そうした場では「かつては物心両面でソ連が支援してきたであろう日本共産党は全千島の返還を言う。それを私たちは“4島返還”にまで妥協している。そこをしかと理解すべきだ」と繰り返してきた。この発言にはロシア側も40年来、反論できないで来ている。

日本共産党がぜひ、健全な国民政党になり、かつて友党が独裁的に支配してきた国への説得にあたってくれることを期待する。

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