イギリスとスペインの領土紛争④ – スぺイン国旗には「より彼方へ」と

フィレンチェ生まれの中世最大の詩人ダンテ・アリギエーリ(1265~1321)は代表作『神曲』の地獄篇の中で(第26歌)、オデュッセウスがこの世の西の果てと考えられていた「ヘラクレスの柱」を通過したと厳かに記述しています。


スペインの国旗

スペインの紋章には「PLVS VLTRA(より彼方へ)」と記されています。

セビリア市庁舎にはカール5世の紋章を支える「ヘラクレスの柱」が。

しかし、現在のスペイン国旗の中央にある国章の帯にはラテン語で「PLVS VLTRA(より彼方へ)」と記されています。かつては「Non Plus Ultra(ここは世界の果てなり)」と記されていたのですから、この変更は、コロンブスの新大陸発見に始まる大航海時代になって、スペイン人の世界観は大きく変わった象徴のように思います。

新大陸発見以前は「地中海の西端」であるジブラルタルはまさに、「世界の果て」だったのでしょうから、「PLVS VLTRA」というこのモットーは、「ヘラクレスの柱(英語=Pillars of Hercules, スペイン語=Columnas de Hércules)」を地中海の西端としてより、広い世界への出発点であるという思いをこめているのではないでしょうか。スペインは大航海時代には「日が沈むことなき大帝国」であったのですから。

さて、ジブラルタルの併合はスペインにとっては悲願ではないでしょうか。国旗に「ヘラクレスの柱」が描かれているのがその象徴と言えましょう。

しかし、この領土問題が原因で、同じEU加盟国であるイギリスの女王の祝賀行事に、スペインの国王が参加しないというのは、私には解るようでもあり、なかなか納得できない気分のニュースでした。

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