「旗」と「遊」の関係は?

千葉のT先生、いつも小欄をご愛読いただきありがとうございます。こんな質問をいただきました。

「旅、族、旋などが、旗と同じ文字から派生しているということを教えていただき、とても興味を持ちました。では、<遊>という字はどう説明できるのでしょうか」。

早速、お答えします。2012年6月1日付の小欄からまず復習してみましょう。

「旅」や「族」はハタとどう関係するのでしょうか。ほかかにも「施」「旋」などが日常的に使用されていますね。「旗」から「其」を除いた部分が「ハタ」を表わすのです。具体的に見てみましょう。

旅行、旅館、旅団などと用いられる「旅」は、「多くの人が軍旗をおしたてて行く」の意から、旗を掲げて「連れ立って歩くさま」を表しています。

また、「族」は家族、遺族、民族、貴族、血族、豪族などとして用いられ、「軍旗のもと多くの矢があつまるさまから、集まること」を表す、すなわち、同じ旗のもとに守りぬくべき集団を表す文字です。

「施」は実施、施策、施主などとして用いられ、うねりゆらぐ旗のさまから「次第に及んでゆく、うつる、ほどこす」の意味を表すのです。

また、旋律、斡旋、凱旋、旋回、旋盤などの「旋」は「ふきながしがめぐるようにぐるぐる歩き廻るの意味を表す」(「」内は、大修館書店『漢語林』)。このように、漢字にはハタの形や用途を表す文字がいろいろあります。詳しくはぜひ、お手元の漢和辞典を引いてみてください。

さらに詳しく知りたい方は、主に周代(前1100頃~前256)の官制を記した『周礼』は、先秦時代(221年の統一)以前の旗の種類や用途についてのさまざまな記載がありますのでご参照ください。

「旗」と「遊」の本論に戻りましょう。

「遊」は「其」の代わりに「子」とし、しんにゅうを付けた形です。最近の教育では、広辞苑で、<「しんにょう」【之繞】漢字の繞(によう)の一。「しんにゅう」はシンニョウの訛であり、正しくは「しんにょう」>だとしています。

また、しんにょうの正しい字形は、一般の常用漢字では数えようでは2画、一部の人名用漢字「迪」「遥」では「辶」(三画)の形、一部の常用漢字「謎」「遡」「遜」、多くの人名用漢字、表外字では「謎」「遡」「遜」のように「 辶」(四画)の形として区別するようですが、区分はかなりあいまいのようです。

何はともあれ、「しんにょう・しんにゅう」が部首になっている常用漢字・人名用漢字はこんなにもあるんです(111文字)。

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(部首、部首名、部首の分類は記載している漢字辞典などにより異なります)

その中で「ハタ」の意のあるのは、「遊」だけ。「之繞を掛ける」というのは、「物事を大げさにする」「輪を掛ける」の意と平凡社の「日本語大辞典」にはあります。

でも、だんだんこうやってみてくると、この「遊」という字がいかにも「旗」に近いように思えてきませんか? 子供たちが旗の周りで(旗を持って)楽しそうに走り回っているようすがめに浮かんできませんか。

漢字ってほんとに、よくできていますね。ここに挙げた11文字について、「ハタ」とは関係なくとも、いつかしっかり、意味を考えてみたいものです。

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