ソチ五輪からのけ者にされたアブハジア①

「A Cinderella Nationのけ者にされた小さな隣国」の見出しで『News Week』(2月6日号)がソチに隣接するアブハジアの現況を紹介している。もともとグルジア内の自治共和国だったが、今では事実上、別の国になっている。もちろん、国旗も別。


アブハジアの国旗

6年前の北京オリンピック開会式の直後、すなわち2008年8月7日、グルジアからの独立を主張する同国北部の南オセチアをグルジア軍が攻撃。翌8日、ロシア軍が反撃してグルジアに侵攻した。ロシア軍は、やはり独立を求めていた西部のアブハジアにもロシア人保護の目的で介入。ロシアは南オセチアとアブハジアの独立を承認、グルジアはロシアとの外交関係を断絶した。北京五輪開会式に出ていたプーチン首相(当時)が急遽帰国。アブハジアを国家として独立させた。ただ、ロシア以外にこの「国」を承認したのはベネズエラと後はごく小さな国だけである。

しかし、そのロシアが今度はすぐとなりのソチで行われているオリンピックからアブハジアを締め出しているのだ。『News Week』は「まるで舞踏会に招かれなかったシンデレラのようだ。世界中がスポーツを通じ平和と相互理解を祝う光景をガラスに鼻を押し付けけてみているしかない」。5兆円と言われる競技場などの工事からもアブハジアを排除、個人としての五輪参加も認めず、警備上の理由として国境を閉鎖し、アブハジアの人たちは観客にさえなることができない。

夏の大会にさえ出場できる見通しはない。「自国の国旗を着けて試合に出ることのできない選手たちに何と説明すればいいか、言葉が見つからない」とアブハジア柔道チームのアンドレイ・ポゴソフ総監督は述べている。また、シャジナ・アビズバスポーツ青少年相は「一番つらいのはロシア各地でアブハジアの国旗が拒絶されること」だという。

『News Week』は記事を、あるアブハジア人が「ロシア人には注意しないと。連中の口に指を入れたら肩まで食われる」との常套句を言ったことを伝え、「古代ギリシャやローマ、オスマントルコ、ソ連、グルジアから愛されたアブハジアは、ロシアの手荒い抱擁を受けても“魂の国(アブハジアの別称)”とその独立を守り続けたいようだ」と結んでいる。


南オセチアの国旗

グルジアの国旗

ロシアの国旗
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