国旗と黄金分割(黄金比)①


193番目の国連加盟国・南スーダン

日本が最近、独立国として承認したクック諸島。
国旗の縦横比はともに1:2

「国旗に黄金分割がないのはなぜ?」

京都市にお住いの高校生からこういう質問が来ました。とりあえず、私に解るところまでお答えします。

ご承知のように、世に黄金分割(黄金比)なるものがあります。英語ではgolden ratio。線分を2つに分割するとき、長い部分と短い部分の比が全体と長い部分との比に等しくなるような比、すなわち、√5+1:2のことです。√(5) = 2.23606798ですから、これを国旗の形で考えると、およそ縦横比は2:3.24(1:1.62)ということになります。

線分をこの黄金比となるようになるように分けることを黄金分割golden sectionといいます。美観と調和を感じさせ、古代ギリシャ時代より、紙型、美術、建築で利用されてきました。パルテノン神殿の柱の形、名刺の縦横比が黄金分割です。

「数学の美」「幾何学的美形」というと、古代ギリシャの数学者たちもきっと感じていたと思われるこの黄金分割のことが思いに浮かびます。「ギリシャの数学者も、何か神秘的なものを(この数字同志の関係に)感じたのだろうと思われます」とウィキペディアには出ています。

ちなみに最近、日本の役所に提出する書類やコピーでよく使うA4版の紙の大きさは、210×297㎝ですから、およそ1:1.414、黄金分割よりやや横が短い形になります。我が家のデジタルテレビは「世界の亀山モデル」とやら。画面は40×70㎝、縦横比1:1.75です。黄金分割より少し横長ということになります。

しかし、ある光景やある花を美しいと感じるか否か、料理の美味い不味い同様、そして千差万別の美女(美男)がいるように極めて主観的なものですから、簡単に同意したり納得したりはできない人がいるのは当然です。「あばたもエクボ」だから恋愛が発生するのでしょう。

閑話休題。ものの本やウィキペディアはさすがに正確かつ詳細で、私のような門外漢には解らないような説明になっています。

まず、正五角形の中の線分の比として、また正二十面体の中の頂点の距離の比として出てきます。また、長方形から小さな正方形を除いてできる新しい長方形が、元の長方形と相似になるための長方形の2辺の比、のちにフィボナッチ(1170?-1250)数列といわれるものとも関係していることがわかります

なのだそうです。先に進みましょう。

そこまで考えると不思議なことにこの黄金分割の縦横比に規定されている国旗がないのが不思議です。国連旗でさえ、2:3または3:5なのです。

私には畳一畳の縦横比である1:2が一番わかりやすいのですが、この縦横比の国旗は「ユニオンジャック」の英国旗をはじめ、オーストラリア、ニュージーランドのような英国旗をカントンに配置している国旗、キューバ、ジャマイカ、バハマ、エルサルバドル、ホンジュラス、ドミニカ国、ソ連、北朝鮮・・・とたくさんあります。しかし、アメリカの「星条旗」は10:19(1:1.9)、日本(「日の丸」)、中国(「五星紅旗」)、フランス(「三色旗」=「トリコロール」)はいずれも2:3(1:1.5)です。1999年の国旗国歌法で廃止が決められるまで有効だった、1870(明治3)年1月27日の太政官布告第57号は「日の丸」を7:10の縦横比と決めていました。縦横比は約1:1.43ということになり、これでは黄金分割より少し縦長になります。ここで今一度、一覧表にしてまとめてみましょう。

※A4サイズについては、ピクセル表示の為、比率を1:1.42とし、縮小しています。

A4版の紙 1:1.414
1870年の「日の丸」 1:1.43
黄金比(分割) 1:1.62
「世界の亀山モデル」 1:1.75
「星条旗」 1:1.9
「ユニオンジャック」 1:2
畳一畳 1:2

黄金分割の国旗はなぜないのでしょう?これは私にとってもまだ答えの出ない課題です。どなたか知恵を貸してくださいませんか?

とりあえず次回は、全国連加盟国の国旗の縦横比を一表にしてまとめてみましょう。

国旗と黄金分割(黄金比)②

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