国旗の「戦争と平和」③

1937(昭和12)年に作られた「皇軍大捷の歌」(福田米三郎詞、堀内敬三曲)は

国を発つ日の万歳に しびれるほどの感激を こめて振ったもこの腕ぞ
今その腕に長城を 越えてはためく日章旗

と、進軍の感激を歌っています。しかし…私たちは今、次の短歌に重い気持ちで接しなくてはならないでしょう。

侵略とは知らず 中国地図上に 日の丸しるせし わが少年期

これは1989(平成元)年12月、「観念的な反戦論しか教えられない若者たちのために、戦争の悲惨さを伝える場として佐賀県吉井町に平和記念館を開いた(『朝日新聞』同年12月9日付)」元中学教師・藤原辰雄氏の歌です。


花岡萬州「無錫ニ入ル中島今部隊」

この絵は早稲田大学會津八一博物館所蔵のもので、2009年には同博物館(旧大学図書館)で萬州の特別展が開かれたので、私も見に行ってきました。大学での展覧会でありながら、戦争画には学生がほとんど関心を持っていないようなのは残念でした。

無錫は江蘇省の都市、上海から南京にむかう途中に位置しています。典型的な城郭都市で、かつては「小上海」といわれるほど繁栄していたところだそうです。1937年11月25日、上海から無錫に入った中島今朝吾中将(1881~1945)の率いる第16師団の部隊が、さらに当時の中華民国の首都・南京攻略に向うところです。(詳しくはこのHPの「戦時に登場する国旗」参照)

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